リークされた米国の要求
国内で賛否が真っ二つに割れている
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加の是非。特に注目されるのは農産物の関税だが、実は
TPPはネット世界にも大きく関係する。「
知財(知的財産)
政策」、つまり著作権の問題も
TPPには含まれている。そのことについて、「骨董通り法律事務所」の
福井健策弁護士がINTERNET Watchに寄稿した記事(10月31日)が話題となっている。
記事によれば、
TPPにおける知財に関する米国の要求(今年2月にリークによって判明した)のひとつに、「
オンラインなどの海賊版対策」がある。
ダウンロードするだけで違法に?
日本には「
私的複製」という例外(個人的に楽しむだけのコピーは著作権の侵害に当たらない)」があるため、ネット上の海賊版をダウンロードしても、個人的に楽しむだけなら違法ではなかった。しかし、目に余る海賊版の横行に、政府は10年からは「
ダウンロード違法化」を取り入れ、
違法にアップされた映像・音楽をそうと知ってダウンロードする場合、(略)著作権侵害とする
法改正をした。
しかし、現在のところ罰則規定はないので、処罰されることはない。これに対し、罰則の導入が検討されている。それが「
ダウンロード犯罪化」である。米国の要求は、この
ダウンロード違法化を
映像や音楽だけに限らず、すべての著作物を対象にすべき、としているという。その場合には、
漫画や小説を「Share」などファイル交換ソフトで入手する行為やネットの画像検索にあがった違法な写真をコレクションする行為などにも広く網がかかる
と福井弁護士は指摘している。
著作権者自身が告訴しなくても処罰される?
また、もう一点注目すべき点は「
非親告罪化」。「
親告罪」とは、警察が海賊版を摘発しても、著作権者自身が告訴しない限りは起訴・処罰などができないというもの。「
非親告罪」は、その著作権者自身の告訴を不要にしようというもの。福井弁護士によれば、これについてはすでに07年に、
導入されたらパロディや同人誌が摘発されて文化が危ない
という危機感から議論となり、導入が見送られた経緯がある。今回、米国の要求には、この「
非親告罪化」も含まれているという。
海賊版の取り締まりは強化されるべきであるが、米国の要求という“外圧”を利用して、国内の規制強化、制度変更を図るやり方は間違っていると、福井弁護士はいう。より詳細な内容については、記事全文を参照されたい(下部にリンク)。
INTERNET Watch
TPPで日本の著作権は米国化するのか~保護期間延長、非親告罪化、法定損害賠償福井健策@Twitter
骨董通り法律事務所