アトランティス帰還の日、管制室スクリーンには日本人制作のWebアプリが!
30年にわたる人類と宇宙の歴史、スペースシャトルの計画に幕が下ろされたのは、まだ記憶に新しい7月21日のこと。この日のアトランティス帰還時、米NASAの管制室では、大型スクリーンに日本の個人が趣味で制作したWebアプリが映し出されていたという。24日、作者がブログにその思いをつづり、明らかになった。
映し出されていたのは、柏井勇魚氏が制作した「GoogleSatTrack」で、これは、Googleマップ上に国際宇宙ステーションやハッブル宇宙望遠鏡の軌道などをリアルタイム表示するようにしたWebアプリ。同氏はアトランティスの軌道離脱噴射指令を出す管制室のスクリーンに映る見慣れた画面に気づき、驚いたという。
小さな奇跡…ネットならではのつながる大きな夢
開発者とあって、すぐそれが自分のものだとは分かったものの、さすがに信じられなかったそうだ。それもそのはず、一番の緊張感走る大気圏再突入前の管制室センター画面に、アマチュアプログラマーのそれがあるのだから無理もない。
これまで、公開されているデータでは離脱後の軌道を終えないため、軌道離脱噴射終了後はトラッキングをとめていたという柏井氏。しかし、今回はやめると管制室の表示も消える。迷ったが、開発者としてこれ以上精度は保証できないと考え、トラッキングを切ったそうだ。すると、管制室の画面からもアイコンが消えた。やはりまちがいなく、画面はこのWebアプリだったのだ。
柏井氏は、これまでにもこの「GoogleSatTrack」が縁となって、ディスカバリーの打ち上げに招待されたこともあるほか、サーバのログに“nasa.gov”のドメインが残っていたため、NASAにも知られているものだということは分かっていたそうだが、あくまでもアマチュア。プロのプログラマーでも軌道力学の専門家でもないため、今回の事態には目を疑ったようだ。
スペースシャトル最後の夜に起きた「小さな奇跡」だが
「僕にとってはとてつもなく大きな出来事」
だったとつづる同氏。あらためて世界につながるインターネットの可能性、際限なききらめきを感じさせる話題だった。
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Garbage Collection(柏井氏のブログ)・
GoogleSatTrack