国内初のロコモ研究用アプリ「ロコモニター」で健康増進!
順天堂大学は16日、Apple社が医療や健康に関する研究用として設計・提供するオープンソースソフトウェアフレームワークの「ResearchKit」を活用し、ロコモティブシンドローム(運動器症候群、略称・ロコモ)研究用のiOSアプリ「ロコモニター」を開発したことを発表した。
アプリで収集したデータをiPhone経由でネットワーク送信することにより、現在のロコモ度やリスクをチェック、健康増進に役立てられる改善法アドバイスを、いつでもどこでも得ることができる。こうしたアプリは日本初のものになるという。
ロコモとは、骨や関節、椎間板、筋肉、神経などの運動器障害により移動機能が低下した状態のことで、昨今注目を集める健康寿命を延長するためにも、普段の生活における早期からの予防・改善が重要とされる。
「ロコモニター」は、アプリ上で3種のロコモ度テスト「ロコモ25」、「立ち上がりテスト」、「2ステップテスト」を完全に再現しており、iPhoneに内蔵された加速度センサーや気圧計を用いて、ユーザーの心拍数や不動時間、歩数、歩行距離、上った階段の数などの自動センシングを行う。
一部機能ではApple Watchとの併用が必要になるが、これらテストとセンシングによって収集されたデータから、人々の運動状況とロコモ度との関連性を導き出すことも可能となり、若年層を含む幅広い年齢層におけるロコモリスクの把握、これまでにない大規模な社会のロコモ度調査・市場調査・社会実装が実現できると見込まれている。
パーキンソン病や気管支喘息とあわせて臨床研究を展開
ユーザーは「ロコモニター」で、質問項目と測定項目との組み合わせにより、加齢や生活習慣などからくる運動機能低下をチェックできるほか、フィードバックとして結果のロコモ度判定に応じ、個々の状態に最適化された予防・改善のための運動・食事といった生活習慣の改善支援を受けられる。
現在、ロコモ人口はその予備軍を含めると、日本国内に約4,700万人存在するといわれており、「ロコモニター」による予防と生活改善は、国民全体の健康増進に大きく寄与すると期待される。
順天堂大学では、この「ロコモニター」アプリとあわせ、同じく「ResearchKit」を活かしたアプリとして、パーキンソン病向けの「iPARKSTUDY」、気管支喘息向けの「ぜんそくログ」を開発、公開しており、これら3つのアプリで診察室以外での患者の日常データを取り入れた臨床研究を展開する。
いずれも問診にあたる質問回答データとともに、iPhone内蔵のタイムスタンプ機能、GPS、加速度計、ジャイロスコープ、気圧計などを活用して収集された運動・環境データを使い、多面的な病態の把握を進め、より質の高い医療を実現する治療方針決定や病態管理方法の確立を目指すものとなっている。
ユーザーは公開されている無償アプリを利用することで、研究に参加可能だ。「ぜんそくログ」は気管支喘息の患者のみを対象とするが、「ロコモニター」、「iPARKSTUDY」は患者以外のユーザーも参加できる。
日常生活における活動や心身状態の変化、微妙な症状変動について正確に情報を収集できれば、より効果的な方法でさまざまな病気の進行を遅らせたり、回復させたりすることが可能になるだろう。今後の展開にも期待したい。
(画像はApp Store iPhoneスクリーンショットより)
順天堂大学 プレスリリース(ロコモニターについて)
http://www.juntendo.ac.jp/news/20160216-07.html順天堂大学 プレスリリース(アプリを用いた臨床研究について)
http://www.juntendo.ac.jp/news/20160216-06.htmlApp Store 「ロコモニター」
https://itunes.apple.com/jp/app/rokomonita