イヤフォンを装着するだけでOK!漏洩リスクも低い新認証技術
日本電気株式会社(NEC)は7日、長岡技術科学大学の協力を得て、ひとりひとり異なる耳穴の形状によって決定される音の反響を活かした新しいバイオメトリクス個人認証技術を開発したことを発表した。マイク一体型イヤフォンを装着するだけで、素早く個人を特定・認証することができる。
さまざまなサービスで本人確認が重要となるなか、指紋や顔、虹彩など生体情報を用いた個人認証技術は、パスワードや鍵に比べ、漏洩や盗難、紛失のリスクが少なく、設定を忘れてしまうといった心配もないため、管理が容易で利便性が高く、多方面での活用が今後期待されている。
今回、新たに開発・発表された認証技術は、耳の音響特性を用い、ユーザーに負担をかけることなく、日常の自然な動作で個人認証を可能にするもの。イヤフォンを身につけるだけという簡単なものであることから、移動中や作業中の認証も容易で、手軽に秘匿性を守ることができ、より活用の幅が広がると見込まれる。
瞬時かつ安定的に測定、認証精度も99%以上と高く安心・便利!
この認証技術では、まずマイク一体型イヤフォンのスピーカから数100ミリ秒の音響信号を送信、装着した人の耳の中を伝搬した音響信号を受信する。受け取った信号に含まれる雑音影響は、複数回の受信信号波形を加算し平均をとる同期加算法で取り除くという。これによって、個々人で異なる耳の中での音の響きである“音響特性”を算出、1秒以内で測定するそうだ。
測定された音響特性から、世界でも最高クラスのNECによる高度バイオメトリクス認証技術をベースに、各特徴量を抽出、認証に用いる。
人の聴覚器官に対する音刺激は、一般に外耳道から鼓膜に達し、中耳、内耳へと進む。NECと長岡技術科学大学の実験によると、とくに外耳道を通って鼓膜で反射し返ってくる信号の成分と、鼓膜よりもさらに奥の部分で反射してくる信号成分が個人判別には重要で、これら2主成分に対応する周波数帯を含む少数の特徴量を抽出することで、最小限の計算量かつ、外的環境影響を排除して動作する、高精度な認証方法が確立されたそうだ。
この耳を使う新しい認証技術は、迅速かつ安定的に利用できるほか、99%以上という精度の高さも確保されている。NECと長岡技術科学大学では、この成果を3月9日~11日に横浜市青葉区の桐蔭横浜大学で開催される「日本音響学会2016春季研究発表会」で発表する予定としている。
(画像はプレスリリースより)

日本電気株式会社 プレスリリース
http://jpn.nec.com/press/201603/20160307_01.html「日本音響学会2016春季研究発表会」 ポータルサイト
http://mtg.acoustics.jp/