スマホで事前に操作内容を入力!「モバイルWalletサービス」
凸版印刷株式会社とTIS株式会社は6日、モバイルキャッシュの利用を可能にする金融機関向け「モバイルWalletサービス」を共同で提供していくことを発表した。カードレスでの利用が可能になるほか、将来的にはスマホをかざすだけでATMの取引操作を完了できるようになる。
「モバイルWalletサービス」は、従来の金融機関が提供するキャッシュカード機能をスマートフォン端末に格納することでカードレス化を実現し、さらにATM手続きにかかる時間や手間を最小化することを目指した機能を有するクラウドサービス。国内の携帯キャリア事業者やMVNO事業者が販売するNFC対応のAndroid端末に対応する。
ユーザーは、Androidスマートフォンにインストールしたアプリで、事前に実行したい取引のATM操作内容を入力、登録しておくと、あとは対応ATMにかざすだけで操作内容が連携・反映され、面倒なボタン操作を行うことなく手続きを開始、取引を完了できる。
ATM利用をより安全に、簡単・スムーズに!
近年、金融分野におけるIT活用の“Fintech”サービスが次々に誕生し、新たな波が生じてきている。また国内はもちろん、訪日外国人によるNFC対応スマートフォンを用いた金融サービスの利用ニーズも拡大していくことが予測されるという。
凸版印刷ではこれまで、ICカードの製造・発行をはじめ、高いセキュリティ性をもったICデータ生成や鍵管理、アクセスコード生成、スマートフォンへの安全な個人データ配信など、金融系関連の多様なサービスを開発・提供してきた。
一方TISは40年以上にわたって、カード会社の基幹系システム開発に携わり、同領域での豊富な経験と先進的技術を保有、培われたノウハウや知見をもとに新たなサービスの提供も行っている。
今回発表された「モバイルWalletサービス」は、こうした両社の技術を融合して生み出されたもので、新たなスマートフォン向けクラウドサービスとしてユーザーの利便性を向上、顧客満足度をアップさせることができると期待されている。米国の金融機関などでは、すでにスマートフォン対応ATMでのモバイルキャッシュサービスが広く実用化されており、今後日本でも普及が予想されるといい、両社は市場背景も踏まえて、ATM手続きを短縮化する機能なども搭載、サービス展開を行っていくことを決めた。
サービス提供においては、凸版印刷がスマートフォン向けWalletアプリの提供を、TISがキャッシュサービスを提供するためのキャッシュカード情報を顧客端末へ安全に格納する技術の提供を担当する。
キャッシュカードレス化を実現する上では、カード番号などの秘匿性の高い個人情報を、アプリにそのまま格納するのではなく、トークンと呼ばれるダミー番号に置き換えて用いるトークナイゼーション機能や高度な暗号化利用を行うことで、端末のセキュリティエリアを必要としないHost Card Emulation機能を標準搭載し、もとの個人情報とトークンは高セキュリティなクラウドサーバで管理、安全に運用できるように工夫している。
なおクラウドサーバは、グローバルなPCIデータセキュリティスタンダードに準拠しており、高いセキュリティレベルでのデータ管理が可能という。
ATM操作については、入出金などの操作を事前にアプリで入力、登録しておくことができ、ユーザーはスマートフォンを対応ATMにかざすだけで、操作を実行、手続き処理をすぐに開始させられる。この機能により、ATMの前で行う操作時間を大幅に短縮できるとみられる。
凸版印刷とTISでは、この「モバイルWalletサービス」について、2020年までに40社への導入を目指し、販売を進めていくとしているほか、さらにサービスの開発を推進、デビット機能やクレジット機能も追加、多様な取引が安全かつ便利に行えるようにしていくとした。
(画像はプレスリリースより)
凸版印刷株式会社/TIS株式会社 ニュースリリース(プレスリリース)
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