暗号化技術が問題に
Research In Motion社(RIM社)がBlackBerryの電子メールサービスとインスタントメッセージングサービスを暗号化した。
しかしこの暗号化技術がインドの国家安全保障上の問題に対応しておらず、8月31日までに改善がみられない場合、インド政府はこの暗号化技術を利用不可能にするとRIM社に通告した。
インドはRIM社の急成長市場の一つ。
インドのネットワークから排除される可能性も
シャットダウンがおきた場合影響をうけるのは同社の4,100万人のユーザーのうちの100万人。
RIM社は自社の提供するサービスを暗号化したが、インド政府は傍受可能なデータ形式で通信を行う事を求めている。過激派によって使用される可能性があるからだ。166人が死亡した2008年ムンバイテロ事件は携帯電話を使用して行なわれた。
インド政府の声明によれば、BlackBerryの暗号化技術がインド国内の携帯電話事業者のシステムに準拠しない場合、インド政府は法律によりBlackBerryを国内ネットワークから排除する可能性もあるという。
数週間のうちに同社の電子メールおよびメッセージングサービスの暗号化は各国政府の非難の的になった。
オンタリオ州ウォータールーにあるRIM社本社ではこの件について協議が行なわれているが同社はコメントは差し控えている。
インド政府の思惑
RIM社はライバルのNokia社やApple社のエリアとは異なりセキュアサーバ-がカナダやイギリスなどにある。ユーザーがRIM社が電子メールサービスで妥協したと捉えれば同社にとりマイナスイメージとなる。
RIM社の社員もユーザーもRIM社のインスタントメッセージングサービスを利用している。かつて北米のスマートフォン市場はRIM社の独壇場だった。しかし現在は競合他社がそのシェアに食い入っている。RIM社がインドやサウジアラビアなどの新興諸国へ進出を狙う理由はこういった部分なのだろう。
ドイツ政府機関の中には職員にBlackBerry使用を禁ずる省庁もあるという。欧州連合欧州委員会はBlackBerryからApple社のiPhone、HTC社のスマートフォンに使用を切り替えたという。
インドはこの電子メールサービスとインスタントメッセージングサービス両方を国内に普及させようとしている。一方サウジアラビアはインスタントメッセージングサービスだけを国内に普及させようとしている。
BlackBerryのシステムはユーザーはユーザーだけが使えるキーを作るシステム。会社側はそのキーの合鍵を持っているわけではない。メーカー側がこっそり部屋に入れる裏口(back door)を作ってあるわけでもない。サードパーティー企業もこの重要な企業データにはアクセス出来ない。
それ以外にも中東諸国ではBlackBerryユーザーがポルノを広げたり、不特定の男性と女性が接触してはならないという中東の規則を破るのではないかと懸念している。
セキュリティを強化したい企業側の思惑、情報を傍受して治安に結びつけたい政府の思惑、事情は複雑だ。
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TVNZ
BlackBerry security concerns for India
http://tvnz.co.nz/world-news/blackberry-security-concerns-india-3697884